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平成26年度(13)  沢山美果子② 10:15~13:00 近代家族と子育て ー 男と女の関係からみた

(13) 1/18(日)  沢山美果子② 10:15~13:00
近代家族と子育て ー 男と女の関係からみた

第13回 1月18日(日)10:15~13:00
  「近代家族と子育てー男と女の関係からみた」

沢山美果子先生(岡山大学大学院客員研究員)

ジェンダーの視点(社会的、文化的性差)、
男と女の関係の視点から歴史をみていこうということで
岡山大でジェンダー論の講義を
20年されてらっしゃるそうです。

私が印象に残ったお話として
近世には、親以外に回りに仮親がいて、
出産時や幼年期には
取り上げ親、
 乳親(母乳を与える前に乳づけをした婦人で、
   成長を見守っていく)
  拾い親など

成人後の仮親
 元服親、烏帽子親、
  契約親(男15才、女13才思春期の頃)
 仲人親など

江戸時代では、離婚、再婚も多かったようですが、
親の環境は変わっても、
子どもに対しての仮親の関係は、
変わらずに あったようで、子育てを補完するしくみの
ように思いました。

離婚、再婚にも男女差があったようで
女やもめが圧倒的に多く、
女の再婚相手は年上男で、
男の再婚相手は年下女、階層によっては
何度も再婚している場合もあるんだとか。

江戸時代は、家の存続のために
父親も子育てに関わっていたようです。
外国の方が日本を訪れたさいの記録に
残っているくらい。

明治にはいり、戸籍法(夫、長男、妻の書き順)や
民法によって、妻から離婚がいいだせなくなってきて、
離婚、再婚、捨て子もへっていったとか。

明治期後半から大正、昭和初期にかけて
都市新中間層が出現
夫の月給で妻子を養う層、
このあたりから、学歴が重視され
子どもに学歴をつけるため、
少産少子社会へと移行していく。
母性愛が強調され、強烈な我が子意識が、
でてくる。父親は会社や仕事が中心となっていく。

大きな変化は
戦後の高度経済成長期の後、
1970年代に核家族化、主婦化のピーク、
母性強調、母性抑圧、三才児神話
近代家族がなりたったことで、
こういった現象がでてきたといえる。

名前にみる子どもの歴史的位置として、
江戸時代の名前の付け方から
ビューティフルネームの時代へと変遷していくあたり
子への期待や親の意識の変化を話しあいました。

 今やキラキラネームまで出現して、子どものペット化とも
 言われているくらい変化してきてます。

こういった社会現象の変化の中で、
これまでのようなライフ・サイクルではなく、
 (同じ頃に出産、育児をしていく)
ライフ・コースをめざしていくことが大事では。
  出発点は同じでも、どんな歩みかはまちまちで、
  個人の選択を大事にして
  ワークとライフを共有し、
  人生を豊かにするようなしくみをもった社会

お話の後、参加者の方からの質問や感想に
お答えしていただき、あっというまの3時間が
終わりました。ありがとうございました。

さらに深めて知りたい方は、こちらをどうぞ。

沢山美果子先生の本
「近代家族と子育て」 吉川弘文館
「女たちの声を聴くー近世日本の妊娠、出産をめぐる
 史料解読の試みー」 『歴史学研究』
「産み育てることの近代」
 『講座 明治維新 第9巻 明治維新と女性』
    有志舎 2015年2月刊行予定