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平成28年度(15)朱まり子 「子育ての文化を伝えるツールを考える」

生み育てる人の心と体に寄り添うための
子育て支援者「15のまなび」の、
今年度の最終回のまとめです。
第15回1月29日日曜日13:30~16:30、

「子育ての文化を伝えるツールを考える」
本会代表の朱まり子

第1部が、「子育ての文化を歴史的に探る」
第2部が、「AKAGOを通して伝えたいこと」
第3部が、AKAGO①を使ってのワークでした。

第1部は、映像を見ながらのお話

なぜ、歴史的に探ることが大事なのかを考えるために、
「おんぶとだっこ」、「おもちゃのガラガラ」の2つを
とりあげて写真などで紹介しながらお話でした。

子を背負う土偶(縄文時代)があったり、
赤ちゃんをおんぶする人形が残っていたりで、
過去をさかのぼっても、子育てではおんぶと抱っこが
行われていたことがわかります。
江戸時代は、町でも農村でも職住近接した環境になり、
母親だけが子育てしていたわけではなく、
父親や祖父、祖母がおんぶやだっこしていた絵姿が
文献には残されているようです。

明治や昭和の時代でも、祖母が着物の中におんぶ
していたり、兄弟がおんぶして遊んでいたりと
いったことが、ごくあたりまえに行われていました。
親兄弟だけでなく、近所の人も、世話をやいてくれるなど、
回りの複数の大人が協力して、多くの手や目によって
はぐくまれてきたのが、日本の子育て。
そういう視点から、今の子育ての現状や
問題は何かを感じてほしい。

「おもちゃのガラガラ」も、
昔のものを見ると、木製で音がでるがらがらだけでなく、
持ち手のところに穴があいていて、
吹くと笛として鳴るという複合的なおもちゃだったそうです。
戦前は音の出る部分は金属のものが多いが、
セルロイドに変わる中で、吹くことで鳴らせる
笛の要素は消えていきます。
1927年にはセルロイドおもちゃは
生産量世界一になりましたが、
戦争で1942年以降、玩具の材料は
木・紙・布・竹・土などの制限され、
戦後は、セルロイドは熱に弱く壊れやすいということもあり
世界的にセルロイドの製造、消費は落ち込みました。
戦後はおもにプラスチックが主流になるなど、
おもちゃの素材は時代により変遷していきます。
「ガラガラ」はふって音を鳴らすだけで、
吹くという機能もついた複合的なおもちゃは
ほとんどなくなっているそうです。

変化していく中で、大切なものが置き忘れられていく、
伝統を伝えたいという思いの中には、
置き忘れてはいけないものを伝えたいという
願いがあるということなのです。

第2部「AKAGOを通して伝えたいこと」
祖父母世代の人からすると、今の子育ての状況は
私らの時代と違うというとまどいから、
若い世代の人に子育ての経験を伝えにくく
なってきている。
そういう状況の中で、
昔から伝えられてきた先人の知恵と
今の子育てにマッチする新たな情報をセレクトして、
子育て中のママを応援するための冊子
「AKAGO」を作成したこと。
これまでに支援のひろばなどでママに接した経験から、
冊子や映像といった間接的な教材を使って
お話したほうが、直接指示されたとかの感じが
軽減されることがわかってきたのだそうです。
AKAGO①赤ちゃんとの生活スタートブックの中から、
テーマをきめて、今日はこれについて
参加者の方にもお話してもらうといった使い方などを
していってほしい。

子どもの目線に会わせた対応ということで、
実際のお子さんの様子の写真を見ながら、
こういうことがじつは子どもの中でおきているとか、
子どもがおもちゃで遊ぶ前に、
じーとおもちゃを見てる時間も、じつは大事な時間で、
そんな時は、大人の思いこみで、あれこれ口だしたりせず、
見守ってあげてほしいといった具体的な対応のお話も
ありました。
どんなおもちゃがいいかについてや、
量の多いものは一度にださずに発達に応じて
すこしづつ増やしてだすといった使い方や、
おもちゃとしてふさわしくないものなどについての
紹介もありました。

第3部はAKAGO①について、
いろいろな分野で子育て支援に関わっている参加者の方から
冊子を見て、感じられたこと、感想、こんな風に使おうと
思うといった意見の交流がありました。

参加いただいた方の中には、子育ての文化研究所の
会員になりたいといううれしいお声もありました。
ご自分の身近なところでは、こういうお話が
なかなかできない場合もあるようで、
同じような志や方向性をもつ仲間としての
つながりが、少しづつでもひろがっていくことを
願っております。
今後とも、みなさまのご理解、ご支援をよろしくお願いします。