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平成28年度(6)櫻井一二  「子育ての民俗と、不登校・引きこもりから見る子育て」 

(6) 【宇治】8/7
 「子育ての民俗と、不登校・引きこもりから見る子育て」 櫻井一二

生み育てる人の心と体に寄り添うための
子育て支援者「15のまなび」第6回

8月7日(日)13:30~16:30

「子育ての民俗と、不登校・引きこもりから見る子育て」

櫻井一二(さくらいかつじ)さん

最初に子育ての民俗を知るために
民族文化映像研究所所蔵の記録フィルムを みんなで見ました。

『甑島のトシドン』1979年
鹿児島県の甑島(こしきじま)のトシドンの風習

トシドンとは年神様のことで、
4、5歳~9、10歳までの子どもを対象にした
大晦日の行事だそうです。

トシドンのかっこうはといえば、
いわゆる「なまはげ」に近い感じ。
12月に入ると大人達は、子どもには
見つからないようにこっそりと
トシドンの衣装つくりの手作業に励みます。
しゅろの皮はぎを腰みのを作ったり、
わらをみのに編んだり、段ボールで
顔につけるお面を作ったり。

大晦日の夜、家族が全員ぴしっとして 座って迎える中、
3人のトシドンがやってきて、 その家の子どもの名前をよび、
その子の状況をあらかじめ聞いたうえで
いろいろ諭したり、ほめたりの言葉をかけ、
トシドン(神様)はちゃんと見ているから
その約束を守るようにと伝え、
四つん這いになった子どもの背中に
丸き平たいもちをのせて、まさ去っていく。
神妙な顔をした子ども達の表情のかわいいこと。
おもちは年霊(としだま)とも言われ、
(今のお年玉はおもちの年霊が由来とか)
中国ではもちは魂の象徴でもあったとか。

トシドンは、来訪神であり、
日本海側の沿岸、三陸海岸、太平洋などの
主に漁村に伝わっている風習らしい。
これは日本だけでなく、西洋にも存在し
オーストリアの山の中にでも
牛のつのををつけた形であったそう。
これがいい子にはサンタクロースが
悪い子にはニコラスピーレンが来るという形になり、
いい子むけのサンタクロースのみが残ったらしい。

この儀礼の本質は、
親以外の他者(トシドンをふくめた回りの大人)も
子どもを育てること。

親が伝えたとはいえ、その子のふだんのふるまいで
誰も見てないようなことまで口にして、
トシドンが しかったり、ほめたりすることで、
いいことも悪いことも両面含めた
子ども(3歳~10歳の子ども)の成長を、
親や回りの大人が見守って支えていくという制度が
あったということ。

これ以外にも思春期の男の子を支える制度
若者宿とか、ねや子とねや親といった
自分の親以外の大人が支える制度などが
各地に残っていたらしい。
伝統的儀礼ではお金のやりとりは発生せず、
無償の行為でもあった。

映像を見た後は、みんなで集まってお話しを聞きました。

不登校の生徒さんによりそう活動をした際も、
その家庭に伺って、どういう雰囲気の家族なのか、
登校を促すこともせず、気長に接し、
外に出るきっかけがあれば、外出につきあうという形で、
家族以外の信頼できる他者として存在するように
されたそうです。

櫻井さんが育ってきた過程で出会った印象に残る先生の
エピソード、民俗学を学ぶ中で出会った師匠ともいえる
先生からの言葉「庶民から話しを聞くことの大事さ、
90歳のおばあさんに師が言われた言葉
「学問をして人文(人の知恵)を忘れるな」
いろいろなお話しをお聞きしました。

子育てに他者が関わることの大事さは、
最近では藤原和博さんが「ななめの関係」として
提唱されてることに通じるようにも思いました。
親以外の大人、親戚やクラブの先生といった
信頼関係のある存在がその子の回りにいるかどうか。
親は、ななめの関係の他者との出会いを子どもにつくる
ことも大事だということ。

民族文化映像研究所
http://jfdb.jp/contacts/2216
1976 年創立以来,
日本の基層文化を記録・研究する事を目指して
出発した民間の研究所で、
長い歴史の中で培われた自然との深い対応と共生の姿を
「基層文化」と捉え、
日本列島を基軸に人々の生活行為を見つめることにより、
それを明らかにしようとしてきました。